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多彩な機能を持つ浴槽も魅力的なのだが、「一つの大きな湯舟に浸かる」というのも銭湯の醍醐味だ。青井浴場はその「一つの大きな湯舟」が自慢の銭湯。
広々としたお風呂と鮮やかな壁画、そして番台と昔ながらのスタイルを残し続けている青井浴場。その浴室内の雰囲気からは、銭湯の原風景である「江戸」の風情を感じことができるだろう。
また、その「古き良き風情」は青井浴場の経営にも結びつく。青井浴場の経営は、親から子へ、そして子から孫へと代々受け継がれているのだ。現在のご主人は、昨年に先代が他界したのをきっかけに一念発起。勤めていた会社を退職し跡目を継いだ。慣れるまでの間は、時間に追われ続け不規則な風呂屋の仕事に翻弄されたという。しかし、今では銭湯主人という肩書きがすっかり板に付いてきた。「人と触れ合え喜んでもらえるというやりがいを感じています。」とご主人は誇らしげに語る。その表情は、代々続いてきた経営を受け継ぐことができたという自信に満ちていた。
伝統を受け継ぐことはとても心強いのだろう。ゼロからのスタートではなく、先代までが積み重ねてきた実績を受け継ぐことができる。それは人間が試行錯誤を繰り返し、真実を追求していく「学問」を形成する姿にも似ている。研究の積み重ねが失敗を生み出し、失敗が成功を生み出す。もしかしたら、伝統を積み重ねる青井浴場の経営こそが、最も成功に近い銭湯の経営方法なのかもしれない。 |